YLOD(赤ランプ点滅故障)と応急処置方法
概要
YLODとは、Yellow Light of Deathの略である。
赤ランプ点滅故障問題とも呼ばれる。
メイン基板(マザーボード)のハンダクラックによる故障と思われる。
症状(初期型PS3)
- 本体正面の電源スイッチかイジェクトボタンに触れる
- 本体から「ピッ」と電子音が鳴る
- 本体正面の電源ランプが一時的に緑に点灯する
- 本体のファンが回りだす
- 本体から「ピピピッ」と電子音が鳴る
- 本体正面の電源ランプが一時的に黄に点灯する
- 本体のファンが止まる
- 本体正面の電源ランプが赤に点滅する
- 本体正面の電源スイッチに触れる(イジェクトボタンは反応しない)
- 本体正面の電源ランプの点滅が止まり赤に常灯する
これの無限ループ
1ループは3秒程度
この間、ディスクが入っていることを示す青色のランプは点灯しない(つまり、本体がディスクを認証できていない)
動画
また、正常なPS3ではイジェクトボタンが反応するまでに起動してから数秒必要になります。
YLODが発生した場合は、その数秒も待たずに電源が切れてしまうので、通常の操作ではディスクを取り出すことはできません。
最初の発生
電源がついている時に突然
- フリーズ・ブラックアウト
- 本体から「ピピピッ」と電子音が鳴る
- 本体正面の電源ランプが一時的に黄に点灯する
- 本体のファンが止まる
- 本体正面の電源ランプが赤に点滅する
- 本体正面の電源スイッチに触れる(イジェクトボタンは反応しない)
- 本体正面の電源ランプの点滅が止まり赤に常灯する
が発生。
しばらく時間をおいたら、また正常に起動する場合があります。
(正常に起動できたら、素早くデータをバックアップしましょう。)
場合によっては1度で再起不能になったりもします。
ディスクの取り出し方
CECH-4000シリーズはディスクカバーを手動でスライドさせて取り出すことができる。スライドできない場合はソニーに取り出しを依頼するしかない。
それ以外の機種ならまず、
- 一度PS3背面の主電源を落とす。
- イジェクトボタンを押しながら、PS3背面の主電源を入れる。
を試してみる。
この動作を行うと、「強制排出モード」になり、高速でファンが回る。そして、YLODだろうが何だろうが、ディスクが吐き出される。
CECH-2000 / 3000シリーズの場合は、手動でも取り出せる。ただし、防塵シートに穴が開くため、ディスク読み取り部分に汚れが付きやすくなってしまうので注意。
- 電源コードやケーブル類をすべて外す。
- PS3のロゴがある面の上の方のカバーを外す。中には青いネジと穴がある。
- 青いネジがついていないほうの穴にプラスドライバーを差し込む。0番と1番(1.4㎜~2.6㎜)が適している。
これで左に回し続けると徐々にディスクが排出される。
決して右に回してはいけない。
SONYに修理を依頼した場合
故障理由
- 原因不明など
修理方法
- メイン基盤交換
今まで使っていた基板とは違う、正常に使用できる基板。
修理金額
- 12,600円~16,800円
16,800円はPS3修理金額の上限金額(満額)
修理後に必要なこと
- HDD初期化
メイン基板交換による修理を行うと元のPS3とは別のPS3として扱われ、新しい基板に適応するためにHDDを初期化(フォーマット)する必要がある。
基盤交換を行って帰ってきたPS3にHDDを入れ、自分の手で初期化することになる。
つまりメイン基盤交換を伴う修理を依頼すると最終的にHDDに保存されていた全てのデータを消すことになるので注意。
自分で応急処置する
ドライヤー法
用意するもの
- ドライヤー
- プラスドライバー
- セロハンテープ(通気口を塞ぐ場合)
メリット
- ソニーにメイン基盤の交換が必要な修理を依頼すると初期化のためにHDDに保存されていた全てのデータを消す必要があるが、この方法で応急処置を行えばデータのバックアップもしくはデータ転送ユーティリティによる移行が行える可能性がある。
- 下記の本格的な修理に比べて用意するものがドライヤーとドライバーのみなため、ほとんどの家庭で出費が0。
- 分解を行わない(※)ため圧倒的に操作が簡単な上、例え直らなくてもその後ソニーのサポート及び修理を受けられる。
- 修理のためにソニーにPS3を郵送するなどの時間的ロスがない。
※HDDの取り外しは必要、これはPS3の説明書にも記載されている公認の操作であり、HDDの換装などでも使われる操作。
デメリット
- この方法では一時的にしか直らず、必ず再故障する。
注意点
- この方法はあくまでバックアップしていなかったデータを救出する目的であり、起動したら素早く必要なデータをバックアップする必要がある。
- 再故障する前に新しいPS3を買ってデータ転送ユーティリティを使えば、torneの録画データなどを含む完全なデータの移行が可能。
- コピー禁止のセーブデータはPlayStationPlusに加入し、セーブデータお預かりサービスを利用することでも引き継げる。
方法
- PS3の背面部の排気口からドライヤーで熱風を送り内部の温度を上げることで"はんだ"を膨張させハンダクラックを一時的に解消する。(解説動画によってやり方に多少差があるが基本概念はこれである。)
手順
1.本体からコード類を外す。またHDDは熱に弱い為、取り扱い説明書に記載されている方法で取り外す。
2.ドライヤーを熱風の強にセットし、PS3を縦置きにする。
3.本体の背面側(HDMI端子、電源端子がある面)の白いシリアルナンバーが貼ってある方の排気口にドライヤーを10分~15分程あて内部の温度を上げる。
※熱膨張によるものか、パンとかパチっとか音を出すが気にせず加熱する。はんだが溶けた臭いがする場合もある。
4.温め終わったら本体が常温になるまで待つ(30分程度)。
※はんだが熱いうちに電源を入れるべきという見方もある。はんだを膨張させることでハンダクラックの隙間を埋めるという観点に立てば、即起動させる方が理にかなっているとも考えられる。
5.外していたHDDとコード類をセットして、電源を入れる。
6.起動しなければ、温めた後に時間を置かず起動させる、送風する時間を延長する、セロハンテープで密閉するなどして1~5の操作を繰り返す。
- セロハンテープで密封する場合
1.を行った後、セロハンテープでPS3背面部以外の排気口を塞ぐ。
1回目で成功することは少なく2~3回目で直ることが多いようである。
ちなみに筆者はセロハンテープで密封する方法で
一回目10分温めで全く起動せず、二回目15分で起動成功!するも二日程度でYLODが再発。。。
三回目15分行ったところ、一週間程度直ったためその間に新型PS3を買いデータ転送を行った。
一回目で失敗しても諦めずチャレンジするのがコツかもしれない。
※動画タイトルに”修理”とありますが正しくは”応急処置”であり
完全に直るような方法ではありません。
- 解説動画
ヒートガンによる本格的な応急処置
-警告-
この方法では一時的にしか直らず、必ず再故障する。
分解する為、二度とソニーに修理してもらえない。
上記2点の理由により自己責任において行う事。
用意するもの

- +ドライバーNo.00とNo.2
- トルクスドライバーT10(先端に穴が開いているタイプのもの。ネジが約20mmの深さの所にあるので、先端部はある程度の長さが必要です。)

- パーツクリーナー、アルコールなど脱脂できるもの
- ウエス(キッチンペーパー等)
- ヒートガン(ホットガンとも)(400℃前後のもの。ヘアドライヤーでは温度が低すぎるので不可です。)
- CPUグリス(放熱グリス。トラブルを避ける為、非伝導性のものが良いと思います。)
- 鉛フリーはんだ対応フラックス(液体のもの)
- スポイト等(ストローでも可)
ホームセンターとPCショップ等で揃える事ができると思います。
いざ応急処置
動画
分解
応急処置
組み立て
各種日本語解説
故障原因
※あくまで推測ですが肯定文で書かれています
原因は基板でハンダクラック(ハンダが割れて、本来電流が通るはずの場所が絶縁状態になる)が起きたからのようです。
ハンダクラック発生時

ハンダにクラックが入る主な原因は、基板と電子部品とでは熱膨張率が異なる為に、熱膨張・収縮時に接合部であるハンダに力が加わるからです。
また、発熱により基板自体が変形したり、振動するなどして、よりクラックが入ります。
それから製造過程でハンダ内部にボイド(気泡)が発生することにより、それを起点としてクラックが入ることもあります。
推測ですがPS3の場合は、大きな基板に非常に発熱するチップが2つも搭載されているので、基板が熱によりハンダや基板変形(膨張)しやすいです。
また、ハンダクラックは、ハンダに繰り返し力が加わることによって、金属疲労が起きて、ハンダが割れたりもします。
上記から推測すると、PS3の場合は、起動したりシャットダウンしたりすることが多いので、基板が熱膨張・収縮を何度も繰り返すことによって、ハンダが金属疲労を起こして、ハンダにクラックが発生したからであろう。
この故障が購入から一定期間後に発生する事が多いのは、この為であろう。
一定期間後に発生する原因としては、通気孔・ヒートシンク・ファン等へのホコリの堆積により冷却能力が低下することもあります。
何度かは電源を入れなおすことができた、ということもあることから、以下のように考えることができます。
- 基板が熱膨張してハンダに小さなクラックが入り抵抗値(温度)が上昇、異常となり電源が切れる。
- 電源が切れたことにより基板が収縮し、クラックも収縮して起動できる状態になる。
- 何度か繰り返すうちに金属疲労(異常な発熱?)によりクラックが進行し、完全に絶縁され起動できなくなる。
ハンダのクラックが入る位置によっては、フリーズなど別の不具合が出る可能性もあるかもしれません。
またクラックの入り方によっては1回目で起動不能になります。
似たような故障
- XBOX360のRROD(Red Rings of Death)
Xbox 360は、不十分な冷却を原因として、使用中に非常な高温となる。この高熱によって、CPU・GPUとマザーボードを接合するボール・グリッド・アレー(BGA)式 ハンダ接合部が弛緩・融解するために故障すると言われている。(ハンダが融解する熱量が発生する以前に熱による基板の変形が起こりパターンが剝離して接触不良となると思われる) 環境問題への配慮から近年使われるようになった無鉛ハンダが使用されている場合、その種類によっては鉛入りハンダより剛性が劣ることがあり、問題の悪化を招く。 ドイツのゲーム雑誌の記事によると、Xbox 360に使用されている無鉛ハンダの種類に問題があり、長時間高熱にさらされると脆くなり、金属疲労や亀裂が生じる性質があるとされている。

- 最終更新:2021-01-06 08:32:46